続お見合い。
■オマケ。
30分後、仁藤はやっと気づくこととなる。
「あれ?そういえば和華さんはどこ?」
「きゃー」
競馬場では非常に目立つ、甲高い歓声が響いた。
何事かと大勢が振り向くと、馬主席の隣にあった一般指定席で栗色の頭が上下しているのが見えた。
「和華ちゃんあたってんじゃん!」
「えええ!やっぱり!」
「何買ってんの?」
「馬単で」
「これはキテるよぉ、かなりつくんじゃない?」
「え?ホント?」
中年男性の中心に和華はいた。
「オッズ出るよ」
「万馬券だよ!和華ちゃん」
「14500?100円が14500円になるの?」
「すっげー和華ちゃん。良く買えたな」
「だって武○さんだったから。とりあえず買ってみたの」
「いやそれでも2着の馬はなかなか買えないぜ?」
「やった〜!おじさん!
さっきのビールの分今度は私がおごります!」
「おお!サンキュー!」
「よっしゃ、俺も次のレース当てるぜ」
「俺だって。
ばーんと当てて、居酒屋乗り込もうぜ!和華ちゃん!」
「俺も有り金たたっこむ!」
「よし!みんなで当てて飲みにいくぞぉぉ!」
右腕を大きくあげたところで、和華の後頭部に直撃したものがあった。
「ぐげッ……いたぁ」
自分に直撃したものと、その犯人が分かったのは同時だった。
「アメフトボール……って蛭魔さん!」
「なぁにが、ばーんと当てて飲みにいくだ。
ビギナーズラックっつうのは一回きりなんだよ。
帰るぞ」
「やだあああ!まだ最終レースがぁぁぁ」
■もひとつ、オマケ
「和華、初めてのお見合いはどうだった?」
「……聞かないで下さい、兄さん」
「ははは。
その様子じゃ仁藤くんはやっぱり金髪の彼の方になびいたみたいだね」
「……やっぱりって?」
「彼、ゲ○みたいだったから」
「はぁぁ?」
「兄さん付きまとわれて迷惑してたんだ。
会社のためと思って我慢してたんだけど」
「……」
「和華をきっかけにまっとうな道を歩いてくれたらと思ってたんだけどね。
ま、あの金髪くんに行ってくれたんなら、兄さんとしても妹の恋路の障害を作れたってことで満足かな〜」
「……」
「……あれ?和華怒ってる?」
「……仁藤さんに、兄さんの髪の毛とか裸の写真とか(幼少期)飲みかけのコーヒーとかあげちゃうからぁぁぁ!」
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