原作沿い?



注:原作沿い?シリーズは?がつく通り、原作の裏で和華が何やってたのだろう。という妄想で始まりました。

コミックス29巻未読の方は以下、白黒反転しないでね。(目も凝らさないで)

今回の小説自体に29巻ネタバレはないはず。

 28巻西部白秋戦前〜白秋戦終了までのH氏骨折をテーマにして話が進む(予定)です。

 管理人はときどきWJ読んでますが、内容をほとんど覚えていないため、30巻が出るまで完結できそうにないです。

 もしくは、書いて後で訂正かな?

ではよろしければ、原作沿いシリーズをどうぞ。」










ピッキング禁止と渡された合鍵を使って扉を開けば、恋人の出迎えが待っている。

「あああ、もう来た!」




「もう!

 毎度毎度、来る10分前に『飯と風呂』ってメールされても、準備できないですよ!」

「てめぇがトロいんだ」

玄関先、仁王立ちでそう言う和華にコンビニ袋を押しつけて、黙らせようとする。

「…………だいたいゴハン買ってくるなら来るって言ってくれれば、慌てないのに。

 急いでお味噌汁とお風呂は入れましたけど、それ以上は時間ないし…」

なおも小声でぶつぶつ言う彼女は無視して、脱衣所へ。

洗濯するものを放り込み、スイッチを押す…そのついでに浴室や寝室に変化が無いか目をやった。

寝室には付けっぱなしのパソコンとベッドの上には問題集やら参考書やらノートが置かれ、まだスペースが足りないとばかりに床にも散乱してい
る。

(この様子じゃ、またろくに寝てねーな)




教育実習後、教員となる思いを一層強くしたらしい彼女は、教員採用試験現役合格のために、まず一次の筆記試験を突破を目指して必死で勉強
することになった。

一日3、4時間は当たり前。採用試験は数十倍の狭き門。

おそらく面接や模擬授業などに絶対の自信はあるのだろう。

しかし、それも一次で落ちれば発揮されずに終わる。



「今日何食った?」

「え」

和華はあからさまに聞かれたくないという表情をしたが、ぼそぼそといい訳するように続ける。


「……珈琲とオレンジジュースと…」

「飯聞いてんだ」



「……そうそう、チョコレート!

 チョコレート食べましたよ!」




大学入試も学校推薦だった彼女は、今までに無いプレッシャーに感じているらしく、ドラマやらバラエティ番組、雑誌もろくにチェックすることなく勉強
に励んでいる。

時代の最先端情報を入れておかねば気がすまない彼女が、それらを犠牲にしていることに俺は驚いている。



「蛭魔さ〜ん、レッドカーペット見ていいですか?

 先週と先々週と録画したのまだ見てなくて」

お笑い番組は、除くらしい。

コンビニ袋から弁当やらパンをテーブルに並べ終わった彼女は、俺の返事を待たずに再生ボタンを押している。

「あ?……くだらねぇ」

「そんなこと言わずに。きゃあ、ジョ○マンですよ!」

食い入るように画面を見つめ、おもむろに立ち上がり、踊りだす。

「ああ、なんかこう掴めそうなんですけど、なんか動きが違う気がする……。

 さ。蛭魔さんも一緒に、イビョンホンボーダフォン?あれ?」

「やるかアホ」

「えー」

ネタが終われば彼女はおとなしくなる。

ハンバーグ弁当の付け合せのコーンをちまちまとつつき始めた。

「……そういえば、次の対戦相手は?」

「まだ決まってねぇ」

「…………そうですか。えっと、西部か白秋?でしたっけ」

「ああ

 ……………聞かねーのか?」

「何をですか?」

視線はコーンを見つめたまま、彼女は問う。

「………どちらが勝ち上がるかはまだ決まってないし、例えどっちでも……

 クリスマスボウル行くんでしょ?」

彼女が挑発するように言うから、こちらも受けて立つ。

「……たりめーだ」

「わたし……信じてますから。

 だから、私は私の今やるべきことを、一生懸命やります」

「…………」

そう、俺も俺のやるべきことを。

最善策に、最悪状況の仮定……俺が動揺しちゃならねえ。

そうなれば終わりだ。


「きゃああ鳥居み○き〜!!!

 たつみぃ〜わかのぉ妄想夢芝居!

 そぉれヒットエンドラ〜ンヒットエンド……」

再び立ち上がり踊りだした彼女の調子はずれな歌を聴きながら、どこか肩の荷が軽くなった気がしていた。






というわけで始めてしましました。
思い立ったら書くのは早くて適当!
ほんの数行で終わらせるはずが、今後の展開シリアスすぎたので……
あったかい二人を書いておきたかったのです。

原作沿い?シリーズを後押ししてくださった蘭さんありがとうございました。



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