我慢大会







「あ、もしかして暑いですか?」

パソコンに向かっていた彼女が突如振り向いてそう言った。

8月も終わり、強烈な日差しはやわらいで来たが、湿度は高く蒸し暑い日が続いている。

こうやって、部屋の中にいてデスクワークをしていても、じっとりと汗がにじんでくる。



「暑苦しい」

俺は答えた。

「あ、やっぱり?

 じゃあクーラーつけま……」

「テメーが!」

そう言って彼女を指差してやる。


和華は一瞬目を丸くしたものの、自分の姿を足から順に確認したようだった。

スポーティなキャミソールに網目が大きめのカーデを羽織り、

下はジーンズ……何を考えてるんだか、くるぶしまで隠れる長さ。

こっちはTシャツが汗で張り付いて気持ち悪いってぇのに、彼女は涼しい顔をしていた。




「とりあえず上脱げ、見苦しい」

「は?

 何言ってるんですか!下キャミソールですよ?キャミ。

 タンクトップより布地少ないんですから!」

「そのカッコが暑苦しいって言ってんだ」

「……女性は必要以上に肌をさらしちゃいけないんです!」

「何年前の人間だ!テメーは」

「私でなく彼女なら承元、建暦、建保あたりだと思いますけど?

 もう、これだから平成生まれは……」

「……!

 だいたい、そのなげー髪なんとかしろよ」

「髪ですか?

 長いと確かに暑苦しいかもしれないですけど。

 でもほら、こうすると風が起こって結構涼しいんですよ?」

彼女はそう言うとぶんぶん頭を横に振った。

これで彼女の髪が黒くてストレートなら……某ホラー映画を思い出した。



「……ん?」

何かに気づいたのか、彼女は突如動きを止めた。

「……………動くと結構暑いですね」

「たりめーだ。

 だから脱げって言ってんだ!」

「…………もう。そうやって暑いの私のせいにして!」



けれど、彼女が服を脱いだら脱いだで、それはまた別の我慢大会。



……あとがきが思いつかなかったので、
暑さで蛭魔さんキャラ壊れ気味ですが、
「別の我慢大会」会場はコチラ。


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